アロマオイル(精油)の選び方で悩む

最近では格安ショップや雑貨店でもよく見かけるようになったアロマオイル。

アロマテラピーには”香りの成分”(アロマオイル)が使われますが、この成分には天然のものと人工的に作られたものがあるのをご存知でしょうか?

一般的にアロマテラピーに使われているのは、天然の植物から採れた芳香成分=精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれているものです。

では、いったい合成のものと天然のものの違いはどこにあるのでしょうか?
また、品質のよいアロマオイルを選ぶにはどうしたらよいのでしょうか?

ここでは良質の精油を見分けるポイントや選び方、保管方法などについて説明していきたいと思います!

天然のアロマオイル(エッセンシャルオイル)を選ぶ理由

アロマテラピーに天然のアロマオイル(精油)が良いといわれているのには実は理由があります。
それは、天然のアロマオイルは、中に入っている原材料や成分が公開されていることが多いからなんです。

「え!?原材料や成分表示は普通でしょ?」と思われるかもしれません。

しかし、日本ではアロマオイルは「雑貨(雑品)」という扱いで、法的に中身の成分表示をしなければならないという義務はないんです。

つまり、アロマオイルには何が入っているかよく分からないものもあるということなんです。

一般的に、肌につけるものや体の中に入ってくるものには原材料などの表示義務があり、私たちの生活は法律で守られています。
食品=食品表示法
化粧品=薬事法

しかし、アロマテラピーは個人の楽しみ方としてアロマオイルを化粧品(手作りコスメ)のように使うことがあるにもかかわらず、法的な規制はないのです。
(ただし、こういったアロマテラピーの楽しみ方は自己責任です)

特に人工的なアロマオイルには、合成香料や界面活性剤が使われていることが多く、アロマテラピーの楽しみのひとつである、クラフトアロマ(手作りコスメやせっけんなど)には向いていません。

いっぽう、天然のアロマオイルは原材料や中に入っている成分が公開されていることが多く、また、その成分の効果効能も分かっていることから天然の精油をアロマテラピーに使うことが一般常識となっています。

精油(エッセンシャルオイル)とは植物から植物が生きていくために作った香りの成分を採り出したものです。
つまり、人工的に作った香りとは違い”植物から採れた天然の芳香成分のみ”が精油と呼ばれているんです。

良質の精油を選ばなければ逆効果!品質の良いアロマを選ぶポイント

ただ、天然精油といって販売されていても品質はさまざまです。

精油は植物の芳香成分100%でなくてはいけません。
しかし、天然とうたっていても別の成分が混ぜられていたり、農薬が混入していたりすることもあるので注意が必要です。

良質の精油(エッセンシャルオイル)を選ぶためのポイントをまとめてみたので参考にしてください。

チェックポイント

    品質のよい精油を選ぶポイント

  • どんな成分(何が)入っているか?
  • 産地は明確にされている?
  • 抽出方法や抽出部位は明確になっている?
  • 農薬は入っていないか?
  • 消費期限は?いつ瓶詰めされたの?

精油の成分分子は非常に小さく、皮膚や肺から血管を通って身体の中に入ることがあります。
ですので、精油を選ぶときは香りや価格だけではなく、食品と同じように安心面にも注意してアロマオイルを選ぶようにしましょう。

1、何が入っている?しっかりと成分チェックを!

精油を買うときに必ず確認したいのが、精油の中にどんな成分がどれだけ入っているかです。

天然の植物から抽出された精油にはさまざまな効果効能があります。
人によっては使わないほうがよい成分もあるので、必ず確認するようにしましょう。
(近日公開:高血圧や妊娠中の人はアロマオイルを使えない?知っておきたい精油の知識)

精油にどんな成分が含まれているかは、”成分分析表”で確認することができます。
成分分析表は精油を買ったときに付属しているか、メーカーのWEBページなどで確認することができます。

成分分析表を見ると、どんな香りの成分がどれくらいの割合で入っているのかを知ることができます。
また、成分分析表には、そのほかに精油名、学名、蒸留部位、産地、蒸留年月、消費期限などが書かれています。

同じ種類でも薬効が異なる”ケモタイプ”とは?

アロマセラピーを始めると、同じ植物でも聞きなれない呼び方をしている精油に出会うことがあるかもしれません。
例えば、ラベンダーなら、真正ラベンダー、スパイクラベンダー、ラバンジンという具合です。

実は、精油には同じ植物種でも育ってきた環境によって含まれる成分(薬効)が大きく異なる”ケモタイプ”というものが存在します。

同じコシヒカリでも産地によって味や香りが異なるように、同じ種類の植物でも育ってきた環境、例えば気温、土の質、標高、日に当たる時間や収穫時期などによって採れる精油の成分が異なることがあります。

例えば、ラベンダーは一般的に不眠によいとされていますが、これはラベンダーに”酢酸リナリル”という鎮静効果のある成分が多く含まれているからです。
実は、この成分は真正ラベンダーに多く含まれていて、その他のラバンジンにはあまり含まれていないんです。

つまり、不眠にオススメと聞いてラベンダーを買っても、それがラバンジンのラベンダーであればほとんど思っていた効果は期待できないということなんです。

では、精油の効果効能を期待して購入したい場合はどうしたらよいのでしょうか?

これが真正ラベンダーかどうかは、精油の学名を見れば分かります。
真正ラベンダーは「Lavandula angustifolia」、ラバンジンは「Lavandulaxintermedia」「Lavandula hybrida」といいます。

アロマテラピーの上級者は香りを楽しむだけではなく、アロマオイル(精油)のメディカル的な部分を楽しみます。
(近日公開:これであなたもアロマテラピー上級者!?精油のケモタイプを使いこなそう)

あなたがもしアロマテラピーのメディカル面が気になるなら、精油の学名もチェックしてみて下さいね!

2、原材料の産地は明確になっている?

原材料の産地が明確になっていることや植物の栽培方法が分かっていることは、品質の良い精油を選ぶ大きなポイントとなります。
なぜなら、エッセンシャルオイルの種類によっては、産地によって品質が変わることがあるからです。

例えばローズ精油ならブルガリア産のエッセンシャルオイルが最高級品質だといわれています。

3、精油の抽出方法、抽出部位

精油(エッセンシャルオイル)は植物からさまざまな方法で抽出されます。

精油を採る最も一般的な方法は水蒸気蒸留法で、原料となる植物の下から水蒸気を通し、その熱によって植物の細胞の中にある精油を採り出す方法です
ほとんどの精油はこの方法で採ることができます。

そして精油が抽出される部位も植物によって異なります。

例えばラベンダーは花と葉、カモミールは花、レモングラスは葉から採れます。
サンダルウッドのように木部から採れるものや、フランキンセンスのように樹脂から抽出されるもの、また実や種子から採れるものもあります。
オレンジなどの柑橘系の果物は果皮から採ります。

柑橘系の果物の皮から精油を採るときは機械で絞って精油を採りますが、これが圧搾法です。

有機溶剤抽出法は精油の成分が壊れにくいので、熱に弱い花などから精油を採る際に使われます
ヘキサンなどに植物の香りを移してからアルコールを使って抽出します。

そして、有機溶剤抽出法で採られた精油はアブソリュートレジノイドと呼ばれて、水蒸気蒸留法で採られた精油と区別されることがあります。
これは同じ植物でも抽出方法が変われば香りの強さや薬効が変わってくるからなんです。

このように抽出部位や、抽出方法を知っておくことは植物の芳香成分の効果を最大限に活かすことにもつながります。

4、農薬は入っていない?

アロマテラピーで使用する精油は植物から抽出されます。
しかし、その植物を育てる過程で農薬をつかっていると、精油を抽出するときに農薬が混ざってしまうことがあります。

精油は凝縮されたものですし、希釈したものを肌につけることもあるので、エッセンシャルオイルに農薬が含まれていないことは重要です。

精油のメーカーには植物をどのように栽培しているかを公表していたり、農薬は検出されていないかを検査している会社もありますので、よく見て選ぶようにしましょう。
(近日公開:農薬などの成分検査を行っている精油ブランド一覧)

5、消費期限も確認して鮮度にも気をつけよう

精油(エッセンシャルオイル)の鮮度にも気を付けてください。
古くなった精油はトラブルが起きやすいものです。

一般的に精油に書かれている消費期限は未開封の状態のものをさします。
開封後、半年〜1年で使い切るようにします。

精油(エッセンシャルオイル)の保管方法

精油には防腐剤が入っていませんし、気体になって飛んでいく性質がありますので、正しい保管方法を知っておくことが大切です。

チェックポイント

    アロマオイル

    精油の正しい保管方法

  • 精油の消費期限を確認し早めに使い切る
  • 湿気の少ない冷暗所に保管する
  • 火を使う場所での保管は絶対にしない

香りや色が変化した精油は、処分するか掃除で使いましょう。
精油には消費期限がありますが、これは未開封での期限です。
開封して時間が経つと、香りが変化するだけでなく身体に良くない成分を含むようになってしまいます。
いつ開封したかを書いておくのがおすすめです。

精油はしっかりと蓋を閉めて、湿気の少ない冷暗所に保管します。
木は光を通さず温度が上がりにくい性質を持っていますので、蓋が付いた木の箱に保管するのが良いです。
更に仕切りが付いたものであれば、瓶が倒れて蓋を溶かすこともありません。
その他、布製のバッグなども使いやすいです。

本数が少ない場合はたんすやクローゼットで保管しても構いませんが、子供さんやペットにご注意ください。

冷蔵庫で保管する場合も注意が必要です。
頻繁な温度変化は劣化を早めますし、瓶自体が結露してしまうと湿気が多い状態になります。
気を付けましょう。

精油には引火性があります。低温で引火する精油もありますので、火を使う場所での保管は絶対にしないでください。